会長挨拶

第60回 日本糖尿病学会年次学術集会会長
中村 二郎
愛知医科大学医学部 内科学講座 糖尿病内科

 第 60 回日本糖尿病学会年次学術集会を 2017 年 5 月 18 日(木)から 20 日(土)までの 3 日間,名古屋市の名古屋国際会議場をメイン会場に,日本特殊陶業市民会館,ANA クラウンプラザホテルグランコート名古屋の 3 会場で開催させていただきます.2000 年の第 43 回年次学術集会以来,17 年ぶりの名古屋での開催となります.
 インスリンの発見からほぼ一世紀が経過し,インスリン療法は目覚ましい発展を遂げました.また,新たな作用機序を有する治療薬の登場により,糖尿病治療のパラダイムシフトがもたらされ,糖尿病学は大きく進化しようとしています.さらに,様々な医療分野の進歩により,糖尿病患者の QOL および生命予後には改善傾向が認められております.しかしながら,“糖尿病および合併症の治癒を目指した根本的治療法の確立”という“糖尿病学の夢”の実現にはまだまだ及びません.日本糖尿病学会の「第 3 次対糖尿病 5 カ年計画」の中でも,大きな目標として“糖尿病および合併症の治癒”が掲げられています.そこで,本学術集会がこの糖尿病学の最終目標へ向けてのひとつのステップになればという思いを込めて,メインテーマを「糖尿病学の夢の実現へ:未来への架け橋」としました. このメッセージは学会ポスターにも込められています.ポスターの原画は,銅版画家の山本容子さんの作品です.今回の年次学術集会のテーマをお伝えし,原画の使用をお願いしたところ,いくつかの作品をご呈示頂きました.糖尿病学の夢である“糖尿病および合併症の治癒”が達成され,糖尿病患者さんは高血糖や合併症を恐れることなく,この絵に描かれているように好きなものを食べて飲んで歌い踊れるようになることを願って,この 1 枚を選ばせて頂きました.
 糖尿病学と関わりのある国内外の研究者・臨床医・医療スタッフが一堂に会し,幅広い糖尿病学の基礎および臨床研究の最先端を発表頂き,“糖尿病学の夢”の実現に向けた架け橋となるような希望に満ちた議論のできる場を共有すべく,2 つの特別講演と 2 つの会長特別企画,2 つの Meet the Expert,2 つの Hot Topics,シンポジウム 30セッション,ディベート 5 セッション,教育講演 27 セッションを企画しました.特別講演では,日本糖尿病学会理事長の門脇孝先生と 2014 年にノーベル物理学賞を受賞された名城大学大学院理工学研究科の赤﨑勇終身教授にご講演頂きます.国内演者による会長特別企画 1 では,「60 周年特別企画~糖尿病学の夢の実現へ~」と題して,糖尿病および合併症の治癒に向けた展望をご講演いただき,私のライフワークである糖尿病合併症学にフォーカスし た会長特別企画 2 では,「Realizing the Potential of Diabetes Research」と題して,海外から合併症の成因や疫学に関するオピニオンリーダーを招聘いたしました.シンポジウムには,基礎研究から臨床研究および療養指導に亘るトピックスが盛り込まれており,他学会や団体との合同シンポジウム 7 つが含まれています.
 また,今回は“The 9th Scientific Meeting of the Asian Association for the Study of Diabetes(AASD)”と“第4 回肝臓と糖尿病・代謝研究会”との同時開催となり,年次学術集会とは別個にシンポジウムが企画されており,AASD とヨーロッパ糖尿病学会(EASD)またはアジア分子糖尿病研究会(MDIA)との合同シンポジウムも開催されます.
 一般演題として,年次学術集会で 2,607 演題(口演 738 演題,ポスター 1,869 演題),AASD で 132 演題,肝臓と糖尿病・代謝研究会で 47 演題,全体で 2,786 演題を採択させていただきました.
 今回の学会会場は名古屋国際会議場をメインに 3 会場ありますが,それぞれの会場がシャトルバスで 10 分以内と比較的近く,移動しやすくなっています.また,会場の分散を少なくすることを目的に,ポスター発表のメイン会場を名古屋国際会議場の地下駐車場に設営致しました.不都合な点もあるかと存じますが,ご容赦いただければ幸いです.
 毎回の恒例となっております「Morning RUN & WALK」は,大会 2 日目の金曜日の朝に名古屋城で行われます.今回は,シドニーオリンピックマラソン金メダリストの高橋尚子さんをゲストにお迎えします.奮ってご参加ください.また,名古屋国際会議場の中庭にキッチンカーをご用意いたしますので,「名古屋の味」も御堪能いただきたいと思います.
 今回で 60 回目となる日本糖尿病学会年次学術集会ですが,60 回はゴールに向けた単なる通過点に過ぎません.ゴールとなる“糖尿病と糖尿病合併症の治癒”を目指して,新緑の名古屋で活発な議論が行われることを期待しています.皆様にご満足いただける充実した年次学術集会となるよう,教室を挙げて全力で準備を進めてまいりました.多くの方々のご参加を心よりお待ち申し上げております.
 末筆ではございますが,演題をご応募いただいた方々,演者・座長をお引き受けいただきました方々,多大なるご協力を賜りました各協賛企業の方々に心より御礼を申し上げます.